ヨハネによる福音書は、主イエスが十字架で死んだ日が、過越祭でささげる小羊を屠る日であったと伝えます(13:1)。主イエスは屠られた神の小羊として、十字架の死をもって神さまにご自身をささげられたのです。
過越祭はイスラエルの人々の出エジプトを記念する祭です。エジプトでイスラエルの人々を支配していたファラオの手から彼らを解放するため、神さまは数々の災いを起こし、その最後に、エジプト中の初子を撃つという災いを起こします。その夜、神さまはエジプトの国を巡り、初子をすべて撃たれました。けれども、イスラエルの人々には予め、指導者モーセを通してこのように行うことが求められていました。それは、この日、傷のない一歳の雄の小羊を屠って、その血を家の入り口の二本の柱と鴨居に塗ること、その夜、肉を火で焼いて食べることです(出エジプト12)。この家に塗った血はしるしとなり、血を見たならば、神さまはその入り口を過ぎ越されます。滅ぼす者が家に入って撃つことはないのです。
主イエスは、この屠られた神の小羊として、ご自身を十字架でささげられました。主イエスはご自身の言葉を満たされます。「あなたが与えてくださった人を、わたしは一人も失いませんでした(9)」「わたしが保護したので、滅びの子のほかは、だれも滅びませんでした(17:12)」。主イエスは十字架の死において、わたくしたちを滅ぼす者から守るべく、自らを神さまに明け渡されたのです。
この主イエスを神さまは死者の中から復活させました。この復活において神さまは、ご自身が独り子イエスを十字架の死に明け渡してまで、わたくしたち一人ひとりを愛しておられること、独り子を信じる者が一人も滅びないで、永遠の命を得ることを(3:16)、証ししてくださいました。そしていよいよ、その神さまのご意志をわたくしたちのこの身に約束すべく、御子イエス・キリストの復活を記念する礼拝へとわたくしたちを招き、この方の十字架の死と死からの復活を宣べ伝えておられます。